山々に囲まれた今田町の東谷、その中心を南北に流れる四斗谷川。この川は加古川の奇麗な源流のひとつである。川の周りには四季折々の花々が咲き、4月上旬から下旬までさまざまな種類の桜が楽しめる。「小野原の桜の通り抜け」としても有名で、期間中はたくさんの人で賑う。そんな四斗谷川の隠れた魅力を探るべく、今田町に詳しい板谷さんと四斗谷川の上流を目指してみた。
のどかな山道を歩きながら町のことをうかがうと、山々が美しい、災害が少ない、伝統工芸が盛んなど…本当に住み良い町であることが伝わってくる。また四斗谷川のおかげで美味しい水が飲めることを、板谷さんは日々感謝しているのだとおっしゃった。
道を進めていくと、深い翡翠色の
井根口池に遭遇。ここは地元住民にしかほとんど知られていない癒しスポットらしく、確かに心と体が浄化されるように感じた。
さらに歩を進めると川の流れは穏やかになり、空気が一層澄みきった神聖な場所に到着。「ここなら子どもが水遊びしても安心だし、静かで混雑もしない。夏におすすめの避暑地です」と板谷さんはうれしそうに笑う。取材時は真冬の2月。さずがに川に入る勇気はなかったが、凛とした雰囲気漂う情景は忘れられないものとなった。板谷さんが語るように夏には今田町固有のホタルが飛び交い、また違う顔の四斗谷川を感じることができるだろう。川の流れに沿って歩いてみる、ただ、それだけでも新しい発見がある。
「世界で最も住み良い町」と今田町をこよなく愛する板谷さん。ご自宅は
四斗谷川から歩いてすぐの場所にあり、毎日美しい景観を望めるのが羨ましいかぎり。板谷さんに今田町のことに関してうかがうと、平安時代から続く歴史、町名の由来など話しが尽きない。また今田町で伝承されている神舞い「蛙おどり」の推進と維持に努められ、この「蛙おどり」は篠山市の奇祭のひとつとして数多く取材されているという。「少しでも多くの人に今田町の歴史と文化、そして自然の美しさを知ってもらいたい」とその想いは熱く深く、続く。
■四斗谷川(しとだにがわ)
住所:兵庫県篠山市今田町上小野原