高台に位置し、四季折々の自然に恵まれた昔ながらの日本家屋に足を踏み入れれば、待っているのは大小数多の陶器たち。無骨にして重厚という伝統的な丹波焼と、シャープで鮮麗な色合いを持つ先進的な丹波焼が美しく同居している。

ここ「省三窯」で丹波焼を作陶しているのは、神戸芸術工科大学で教授をされている市野元和さんと、兵庫陶芸美術館で陶芸指導員を勤める傍ら、ポートピアホテルなどで個展を開くなど精力的に活動する息子の秀作さん。丹波の伝統に最も重点を置いた渋さのある作品を作陶する元和さんと、伝統を重んじながらも新しい風を呼び込もうとする秀作さんは、お互いを一作家として認め合い、忌憚の無い意見を交わしながら日々良質な作品を生み出している。


この「省三窯」では型物は製作しておらず、「ロクロ」や「たたら」を用いた手作りの品に力を入れている。もちろん色へのこだわりも強い。秀作さんは独学で釉薬(ゆうやく)の調法を学び、何千回とテストを重ねたことで、独自の美しい色合いを身にまとった器を次々と生み出している。そのつるりとした色合いと質感は宇宙のように神秘的でさえある。土も一つのものにこだわらず試行錯誤を続け、今は赤土部(あかどべ)に強い興味を持っているとのこと。そうして生まれた食器や花瓶には人の温もりが宿り、手によく馴染んで触れた人の心を掴んで離さない。


2015年9月に開催される「神戸ビエンナーレ」の陶芸部門において秀作さんは大賞を獲得。輝かしい栄誉である。丹波焼からは大熊窯の大上 伊代さんも入賞している。
「作家として生きていくには人と異なるものを作っていく傍ら、丹波の伝統も守っていく必要があります。その二つの使命を大切にしながら製作していきたいですね。」その言葉に裏付けられるように、秀作さんの作品は渋い色合いのずっしりとした陶器から、綺麗な色合いをした線の細い陶器まで幅広く存在する。なかには目の覚めるような綺麗な水色をした器もあり、見る者を飽きさせない。
伝統の継承と革新。どちらも怠らずに研究を重ねる彼の今後の作品に期待が高まるばかりだ。

次代の省三窯を背負う立場にして、丹波焼の作陶を行う新進気鋭の若手集団「グループ窯(よう)」の一員でもある秀作さん。メンバーと意見をぶつけ合いながら互いに切磋琢磨し、丹波焼の発展のために尽力している。「丹波焼は土っぽくて、重厚なイメージを持たれることが多いですが、だからこそ私はシャープで、綺麗な作品を創りたいと思っています。色んな方に興味を持っていただけるよう、伝統をベースにしつつ、個性を出していきたいですね」と語る。


■省三窯(しょうぞうがま)
住所:兵庫県篠山市今田町上立杭2-2
電話:079-597-3450
営業時間:10:00〜17:00
定休日:不定休
駐車場:3台
グループ窯フェイスブック:
https://www.facebook.com/group.you.tanba
神戸ビエンナーレ(現代陶芸展):
http://www.kobe-biennale.jp/compe/tougei/list.html






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