美味しいものがある!!、そんな期待をさせるいい匂い…懐かしい昔ながらの佇まいの「まんま」におじゃますると、かっぽう着姿のおばあちゃんがせっせと巻き寿司を作っていた。手焼きのおかきや酢の締め加減が絶妙な鯖寿司、黒豆から作ると風味高い味噌などこだわりの品がズラリ。もちろんすべておばあちゃんの手作りで、ほかにも季節に応じて佃煮やちまき、大福などが登場するのだ。
「ちょっと味見してくださいな」と差し出された山盛りの巻き寿司を頬ばると、これぞおふくろの味!と思わず顔がほころんでしまうようなあったかい味わい。中には太い玉子にきゅうり、人参、かんぴょう、ここで干した大根まで入り、食べごたえ十分である。自慢の鯖寿司は手作りの山椒がアクセントとなり、なんともクセになる味わい。どんな高級寿司店でもこの美味しさにはなかなか出会えないはずだ。
「まんま」は季節の食材を使用した「おふくろの味」を提供する店。普段ここの商品は「こんだ薬師寺温泉ぬくもりの里」にある野菜直売所「農(みのり)」で売られ、地元の住人から観光客まで多くの人々の舌を喜ばせている。「そんなに多くは作れないからねぇ」と笑顔で話すおばあちゃん。それでもここで作り続けるのは若い世代にも昔の味を知って欲しい、忘れないで欲しいという想いがあるからだ。さらに、これも今田町の名物と、おみやげにいただいたのは「今田漬」という白うりのお漬物。パリポリと歯切れのよい食感が特長で、巻き寿司や鯖寿司との相性も抜群だ。
この町で生まれたこの町ならでは伝統の味。わざわざ出かけてでも食べたい、そんな逸品との出会いが「まんま」にはある。
生まれも育ちも今田町という藤本りつこさんは、まさに町のおふくろ的存在。26年前に商工会婦人部が町のイベントなどで料理をふるまうことをきっかけに「まんま」が誕生し、現在でもイベント時や電話注文があれば料理を届けているという。取材時はちょうど節分の直前。巻き寿司を100本作るんだと、パワーみなぎる元気な姿はまだまだ若い世代を引っぱってくれそうです。料理はもちろん、りつこおばあちゃんに会いに行くのも楽しみのひとつになるだろう。
■まんま
住所:兵庫県篠山市今田町休場12-2
電話:079-597-2026
営業時間:8:00~12:00
定休日:不定休
駐車場:5〜6台